日銀のワーキングペーパーが、コロナ禍の企業支援策が「経営基盤の弱い企業」に集中していたことを検証データで示した。同じ週に中小企業庁は「デジタル化・AI導入補助金2026」の採択結果を公表し、通常枠の採択率は4割台にとどまった。倒産を防いだ支援策の功績と、低生産性企業を延命させた副作用は表裏一体であり、今後は融資返済や補助金申請そのものが「選別」の場になっていく可能性がある。コロナ融資で持ちこたえた店、補助金でIT化を進めたい店、それぞれが直面するのは同じ問いだ。その資金は延命のためか、成長投資のためか。この特集では、今週公表された4つの制度・研究を横断し、飲食店経営者が資金繰り支援とどう向き合うべきかを整理する。
なぜ「支援漬け」が経営を弱めたのか
日銀ワーキングペーパーが示した最大の論点は、コロナ支援が業績回復力のある企業ではなく、コロナ前から信用力の低かった企業に偏って行き渡っていたという事実だ。実質無利子融資や給付金は倒産回避には確かに効果を発揮したが、本来なら市場から退出すべき低生産性企業を延命させた側面も否定できない。飲食業はこの支援に最も依存した業種の一つであり、他人事として読み流すことはできない。