
奥渋谷の飲食店『Arbre』は「脱・居酒屋」を掲げ、あえて人員を増やさない体制を取りながら客単価を2割引き上げている。背景にはノンアルコール需要の高まりがあり、全体の1〜2割の客が非アルコールを希望する状況に対応。既製品のウーロン茶やノンアルビールでは料理の質と釣り合わないとし、クラフトシロップやハーブを使ったノンアルカクテルを導入し、料理とのペアリング体験を提供している。ドリンクの主力は日本酒で「おまかせ5杯」4,000円のペアリングメニューも展開。採用と人材育成という業界共通の課題に対し、少人数体制と料理力強化で応える姿勢が特徴。
人手不足と採用難に頭を悩ませる経営者にとって、「あえて人を雇わない」という選択は逆説的でありながら共感を呼ぶのではないでしょうか。少ない人員でどう付加価値を高めるかは、多くの店が抱える切実なテーマです。
居酒屋という業態が「安価でお酒を楽しむ場」から「料理体験を提供する場」へとシフトする動きの一例といえます。ノンアルコール需要の拡大や客単価向上志向は、居酒屋業界全体で見られる構造変化の一部として位置づけられます。
人員を増やさずに客単価を上げるには、料理やドリンクのペアリング体験を磨き込むという方向性が一つ考えられます。また、ノンアルコールメニューを既製品で済ませず、独自のクラフト系ドリンクで差別化を図るという道もあります。少人数体制を前提に、メニュー数を絞って一皿あたりの質を高めるという選択肢も検討に値します。