この1か月、ラーメン業態のニュースを見渡すと目立つのは値上げではなく「無料」というキーワードだ。神座は唐揚げ・餃子の日替わり無料、新潟のキタカタ系列や尼崎の宮っ子ラーメンは子どもラーメン無料、きゃべとんは抽選でラーメン無料――大手・個店を問わず、麺そのものの値上げに踏み込むより、サイド商品や子ども向けメニューを無料化して客数を守る動きが目立つ。同時に、シマダヤの業務用麺値上げや飲食店倒産の過去最多更新など、コスト構造は確実に悪化している。値上げしにくい環境で客数を維持するために、大手も個店も「何を無料にするか」という設計を競っている構図が見えてくる。この特集では、なぜ今このタイミングで無料施策が集中しているのか、大手チェーンの出店・コラボ戦略とどう違うのか、そして自店で無理なく取り入れられる考え方を整理する。
なぜ今、値上げより「無料」が選ばれているのか
コスト高が続く中でも、多くのラーメン店は麺やスープの値上げより、サイドメニューや子ども向け商品の無料化に動いている。シマダヤの業務用麺値上げ(3〜16%)のように仕入れコストは上がり続けているが、飲食店倒産は2026年上半期で473件と過去最多を更新し、価格転嫁への警戒感が強い。神座(唐揚げ・餃子無料)、新潟のキタカタ系列や尼崎の宮っ子ラーメン(子どもラーメン無料)はいずれも「看板メニューは定価のまま、サイドを無料にする」という共通設計だ。