7月は土用の丑の日に合わせ、松屋・大戸屋・なか卯・かつや・天丼てんやなど業態の異なる各社が一斉にうなぎメニューを投入した一方、和食チェーン「かごの屋」は看板だったしゃぶしゃぶ食べ放題の提供中止を打ち出した。同じ和食業態の中で、季節商材への相乗りを強める動きと、長年の看板業態を手放す動きが同時期に起きている点は見過ごせない。しゃぶ葉やゆず庵が食べ放題に沖縄フェアや牛たんを追加料金なしで組み込み、むしろ攻めに出ている事実と合わせると、「食べ放題を続けるか辞めるか」の判断が単なる業態の好みではなく、原価構造とブランド戦略の違いに基づいていることが見えてくる。この特集では、うなぎ商戦の裏にある単価設計の共通パターン、食べ放題を続ける店と辞める店の分岐点、そして自社の定番メニューやまかないから新業態を生み出す発想の転用可能性を、直近1か月の記事から読み解く。
なぜ大手各社は今、うなぎに一斉に群がっているのか
土用の丑の日という毎年恒例の需要期に、業態を問わずうなぎ商品を投入する動きが一斉に起きている。松屋・大戸屋・なか卯・ジョイフル・ココスの5ブランドに加え、かつやは「うな玉とロースカツの合い盛り丼」を1320円で発売し、天丼てんやも旬食材を使った限定丼で追随した。うなぎという単価の高い食材を、既存の看板メニューと組み合わせることで単価アップと季節性の話題化を同時に狙うのが共通パターンだ。かつやの合い盛り丼にSNSで「高い」という声が上がったことも含め、価格反応そのものが話題化の一部として機能している。