9月20日から10月8日にかけて、中食市場では対照的な動きが同時進行した。栃木県足利市の老舗弁当業者が競合激化による資金繰り悪化で事業停止に追い込まれる一方、弁当店の倒産は過去最多ペースとなっている。同じ時期に、創業130年の近江牛専門店が惣菜・冷凍食品まで一貫生産する新工場を稼働させ、老舗料亭「なだ万」が百貨店で弁当・惣菜業態に進出し、松屋銀座は規格外野菜の冷凍ペースト卸事業に着手した。この記事を読むと、弁当店の倒産ラッシュの裏にある具体的なコスト構造の中身が分かる。コメ価格の下落が実際にどこまで経営を助けているのか、それとも助けていないのかが見えてくる。そして淘汰が進む市場で、なぜ異業種や老舗ブランドが逆に新規参入を選んでいるのか、その判断の分かれ目も整理できる。原材料費・人件費の高騰と米価下落という相反する要因が同時に起きている今、自店のコスト構造をどう読み解くべきかを考える材料になるはずだ。
なぜ弁当店の倒産が過去最多ペースになっているのか
弁当店の倒産増加は、米価下落という「追い風」だけでは相殺できないコスト構造の悪化が原因だ。米価格は2025年5月の4238円(精米5キロ平均)から直近は2934円まで下落し、2週連続で3000円を割っているが、それでも倒産が止まらないのは、人件費や米以外の食材費が上昇を続けているからである。実際、東京23区の9月消費者物価指数では弁当が前年比28.1%という大幅な上昇を記録しており、これは原材料の値上がりが米の下落分を大きく上回っていることを示す数字だ。







