8月17日から9月4日にかけて、回転寿司チェーンの動きが「すし」業態のニュースを占めた。スシローが10月にニューヨーク・タイムズスクエアへ米国1号店を出店すると発表し、1皿5ドル(約800円)・チップ不要という価格戦略が大きく報じられた。同時期、くら寿司の「ちいかわ」コラボでは景品の在庫・提供方法をめぐる疑惑がSNSで拡散し、公式が謝罪と調査を発表する事態になった。さらに帝国データバンクによると9月の食品値上げは4923品目と過去最多を記録する一方、くら寿司やイオンは値下げに動くという逆方向の価格戦略も見られた。この記事を読むと、海外進出時の価格設定の考え方、コラボ企画で炎上を避けるための運用上の注意点、そして値上げラッシュの中で自店がどう価格を決めるかの判断材料が分かる。大手の動きは規模が違っても、価格と話題性の設計という点で中小店にも直結する論点を含んでいる。
スシローの米国進出価格はなぜ国内の7倍でも成立するのか
スシローが米国で付けた価格は、原価構造の違いではなく現地の外食物価水準とチップ文化への対応が生んだものだと考えられる。国内では1皿120〜130円が最低価格帯であるのに対し、ニューヨーク店は2貫5ドル(約800円)からと約7倍の設定だ。それでもチップを不要とする方針を打ち出し、皿の色による4段階の価格分け(5・6・8・10ドル)という国内と同じ仕組みを輸出することで、「本物の質を維持しながらリーズナブル」という訴求を成立させている。
