6年間価格を維持してきたサイゼリヤが9月以降の価格改定検討を表明し、株価はストップ高となった。同じ週にスシローが定番の約1割を選んで値上げし、ヒゲタ醤油は業務用135品の改定を11月に控え、焼肉店では網交換の有料化が個人店と大手で二極化している。原材料・物流・人件費の上昇はもはや一時的な波ではなく、業態や規模を問わず構造的な圧力として全業界に及んでいる。この特集では、31年間据え置いた価格を見直したぽんしゅ館の体験刷新型値上げから、スシロー・いきなり!ステーキの選択的値上げ、IPコラボで増収減益に陥った外食企業の事例までを横断し、値上げを「一律にやるか、選別してやるか」という分岐がどのような判断基準で決まっているのかを整理する。自店の値上げ判断に使える具体的な視点も提示する。
なぜ「値上げしない」代名詞サイゼリヤまで動いたのか
サイゼリヤの価格改定検討は、企業努力による吸収がついに限界に達したことを示す象徴的な出来事だ。同社は自社農場や調理工程の効率化で低価格を維持し、2020年のミラノ風ドリア端数調整以来約6年間、本格的な値上げを避けてきた。しかし円安による輸入食材コストの上昇は、効率化だけでは吸収できない規模に達している。