「値上げしない」を掲げてきたサイゼリヤが、6年ぶりの価格改定を検討すると表明した。決算は純利益87億円で前年同期比12%増と過去最高を更新しながらの決断であり、市場は好感して株価をストップ高に押し上げた。同じ週、帝国データバンクは8月の食品値上げが2311品目、前年同月比8割増になると発表し、9月には4000品目を超える見通しだと伝えた。一方でコメの店頭価格は4週連続で下落し、民間在庫は過去最大の243万トンに達している。値上げが加速する食材と、値下がりに転じた食材が同時に存在するという、原価管理が一段と難しくなる局面だ。この1週間の動きを横断すると、値上げに成功する店と苦戦する店の分かれ目が見えてくる。
なぜ「値上げしない」サイゼリヤまで動いたのか
サイゼリヤの方針転換は、規模の経済でコスト増を吸収する経営モデルにも限界が来たことを意味する。同社は2020年7月のミラノ風ドリア改定以降、主要メニュー価格をほぼ据え置き、客数増と販管費圧縮でコスト高を吸収してきた。しかし2025年9月〜2026年5月期は純利益が前年同期比12%増の87億円と過去最高を更新しながらも、社長自らCPI(消費者物価指数)動向を見て価格改定を検討すると発言している。「据え置きの象徴」でさえ限界に達したという事実は、同業他社にとって「値上げしない経営」を続ける根拠が薄れつつあることを示している。