フクタンの経営ノート
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ファストフード業態の集客戦略といまの経営環境

業態別/ファストフード
最終更新:2026年7月28日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

大手チェーンによる期間限定メニュー・コラボ商品の投入が2026年7月時点でも高頻度で続いています。マクドナルドは7月22日から55周年とポケモン30周年を記念した「ポケモン夏マック」を展開し、朝マック限定の新商品「タルタルデミソーセージマフィン」が話題を集めました。「サムライマック」レギュラー化5周年を記念し、夕方5時以降の「夜マック」限定で新商品も投入するなど、時間帯別に周年企画を重ねる展開が続いています。

モスバーガーは3月18日、定番「テリヤキバーガー」を4年ぶりにリニューアルし、数量限定・期間限定の派生商品も同時展開しました。松屋フーズが展開するとんかつチェーン「松のや」は7月29日、160gの厚切りリブロースかつを使った「“超厚”リブロース and 玉子のタレかつ丼」を1090円で発売しました。厚みという視覚的な価値を打ち出し、値上げが浸透した市場でも客単価上昇への納得感を作る狙いがうかがえます。

吉野家は7月27日、魚シリーズ第二弾「牛・金目鯛の煮付け定食」を発売し、同時期公開の人気アニメ映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』作中の煮付けとの偶然の一致からSNSで「実質コラボ」と話題になりました。公式なコラボ発表はなく、セブンイレブンも同映画関連の煮付け商品を先行発売しており、コンビニと外食の両方で似た便乗的な話題化が起きている点が特徴です。

集客施策では、SRSホールディングス(「和食さと」「かつや」「得得うどん」など)が7月27日から8月9日まで、PayPayクーポンで税込2,000円以上決済時に最大3%還元するキャンペーンを実施しています。キャッシュレス決済事業者との連携による客単価・来店促進策は大手チェーンで定番化しつつあります。

販路面では、松屋フーズが冷凍食品のEC販路として「Temu」に続き7月27日には越境EC「AliExpress」にも国内向けで出店し、牛めしの具(プレミアム仕様)やカレーを販売開始しました。国内主要モールに加え新興・越境プラットフォームを重ねる多チャネル戦略が定着しつつあります。

業界全体の数字では、日本フードサービス協会の調査で外食産業の2026年6月度売上高は前年同月比3.3%増、客単価は2.4%上昇した一方、客数は0.8%増にとどまりました。台風接近と土日の少ない曜日回りが影響し、ファミリーレストランや居酒屋など飲酒業態で客足が伸び悩んだ一方、ファストフードは5.1%増と堅調で、新メニューやキャンペーンの効果が客数下支えに寄与した形です。

価格面では、6年ぶりの値上げを検討するサイゼリヤの動向が象徴的です。同社の国内平均客単価は862円まで上昇し、ファストフードの平均ランチ代(約796円)との差はわずか66円まで縮まっています。ファストフードとファミリーレストランの価格帯の境界があいまいになりつつあります。

供給網の面では、7月13日にニチレイグループへの不正アクセスによるシステム障害が発生し、物流を委託するKFCで欠品・時短営業が相次ぎましたが、7月22日には全店で通常営業を再開しています。取引先1社のトラブルが自社の営業に直結するサプライチェーンの脆さが表面化した出来事です。

構造・原理

ファストフード大手の商品戦略には共通する型があります。既存の定番メニューをベースに素材やソースを一部変えて「新商品」として再訴求する手法です。モスバーガーのテリヤキバーガー刷新や松のやの厚切りかつ丼のように、既存商品の延長線上でボリューム感や見た目のインパクトを強化することで、開発コストを抑えながら値上げへの納得感も作れます。これは商品開発値上げ・原価をつなぐ王道パターンとして定着しています。

もう一つの型は、人気IPとのコラボや偶然の話題化です。吉野家の煮付け定食が映画公開時期と偶然重なりファンが「実質コラボ」と解釈して拡散した事例は、正式契約なしでも副次的な話題化が起きるSNS時代特有の現象で、コンビニでも同様の動きが確認されています。集客・販促の観点では、期間限定・数量限定という設計自体が話題性と在庫リスク抑制を両立させる仕組みです。

集客の型としては、キャッシュレス決済事業者と連携したポイント還元キャンペーンが定番化しています。SRSグループの2,000円以上という条件設定のように、まとめ買いや複数人利用を促す設計が典型です。

業界データが示すのは、客単価の上昇が客数の伸び悩みを補う構図が続いている点です。天候や曜日回りに左右されやすい業態と、日常使いされやすいファストフードとで明暗が分かれており、業態特性による耐性の差が数字に表れています。

販路の型では、大手モールに加え新興・越境プラットフォームを併用する多チャネル戦略が進んでいます。松屋フーズがTemuに続きAliExpressにも出店したように、専用商品を投入して短期間で成果を出す事例は、店舗商圏外の顧客をECで取り込む発想の延長線上にあります。一方で、食材配送を大手物流会社に一括委託する構造は効率的ですが、単一障害点が業界全体に波及するリスクを抱えています。

経営の打ち手

個店やチェーン店には、大手と同じ規模の企画は難しくても応用できる型があります。

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