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大衆食堂・レストランの経営戦略と価格・出店動向

業態別/大衆食堂・レストラン
最終更新:2026年9月11日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

2026年9月11日時点で、食堂・ファミレス業態は「税制の分岐と減税実装格差」「価格の二極化(値上げ・値下げ・高価格帯進出の同時進行)」「ビュッフェ・食べ放題の高原価食材による差別化と価格キャンペーン」「定食チェーンの台頭と決算の明暗」「IPコラボ・天候連動・データ活用型広告など集客手法の多様化」「大手による脱炭素対応の本格化」「コメ価格急落による調達環境の変化」が同時進行しています。

食料品消費税を2027年4月から2029年度の給付付き税額控除本格導入までの「つなぎ」措置として1%に引き下げる方針が固まる一方、外食・イートインは10%据え置きが確定的です。税率差を正しく認識していた人は31.4%にとどまり、昼食1,000円の想定で「自炊」「惣菜・弁当」を選ぶ人が「店内飲食」を上回るとの調査結果もあります。

価格戦略は値上げ・値下げ・高価格帯進出が同時に進む局面です。ロイヤルホストはグランドメニューを刷新し客単価6%上昇、くら寿司は最低価格を110円へ引き下げつつ一部値上げ、ジョイフルも一部値下げしました。松屋フーズは百貨店の松屋銀座に高級業態「松屋PREMIUM」を出店し、神戸牛牛めしを1390円で提供する新客層開拓に踏み出しています。銀座の高級魚専門店ザガットも旗艦店の豊洲直送ルートを活かした新業態「まぐろと魚 海鮮めし なかまた」を東銀座に出店し、1980円からの海鮮めしで高級魚をより手軽な価格帯に落とし込みました。

ビュッフェ・食べ放題業態では、高原価食材の看板化と価格キャンペーンの両方が動いています。「ザ プラチナムビュッフェ 沖縄」はステーキ食べ放題を導入し客単価と満足度の両立を狙う一方、全国28店舗を展開する「ザ ブッフェ ダイナー」は9月10日〜16日、夜もランチ料金で利用できる期間限定キャンペーンを実施し、来店ハードルを下げて客数増を狙っています。神戸ポートタワーホテルの手づかみビュッフェも好評につき期間延長・新メニュー投入で息の長い集客装置に育てています。

定食チェーンの好調も継続しており、大戸屋は8月既存店売上高が前年同月比10.8〜11%増となり株価も反発しました。一方であさくまは27年1月期第一四半期売上高が前年比25%増と好調を続けたものの、26年7月期通期決算では減益に沈み、増収減益の構造が明らかになりました。厨房機器販売のテンポスホールディングスも飲食事業利益が前期比9割減となり、物価高や天候要因が業界全体の収益を圧迫している実態が浮き彫りになっています。

集客・販促面では手法の多様化が目立ちます。ジョイフルは「鬼滅の刃」コラボ第3・4弾を開始し新メニュー7品・ノベルティ20種で来店動機を複数用意、すかいらーくレストランツは子ども向け会員サービス「アンパンマンクラブ」でポイント交換の限定グッズを配布しファミリー層のリピートを狙います。和食ファミレス「夢庵」は降水確率50%超の日にSNSで8%オフクーポンを配信する天候連動施策を導入し、客足が鈍る雨天日の需要を喚起しています。すかいらーくは「しゃぶ葉」でROAS8.8倍を実現したデータ活用型広告の事例をカンファレンスで公開する予定で、来店直前の消費者行動を捉える広告手法が大手で実践段階に入っています。

環境対応も進んでおり、すかいらーくホールディングスは北海道電力・HAREとのオフサイトPPA契約により太陽光発電所の運転を開始し、店舗への再エネ電力供給を始めました。

供給環境では、2026年産新米の概算金が16道県で前年比2〜4割下落しました。栃木のコシヒカリは45%減、岩手のひとめぼれも39%減で、店頭では5キロ2千円台の新米も広がる見通しです。政府の備蓄米買い戻し方針の遅れが提示遅延の一因となった地域もあり、生産コスト上昇と価格急落の挟み撃ちで農家の離農増加も懸念されています。

構造・原理

食堂・ファミレス業態は「低価格・高回転」を前提とするため、原価上昇の吸収余地が他業態より小さい構造的弱さを持っています。原価が上がった食材は値上げ、下がった食材は還元というメリハリ型の価格改定が定着しつつある一方、松屋PREMIUMやザガットの新業態のように、既存の仕入れ網・ブランド食材を活かして高価格帯へ横展開する動きは「価格帯そのものを増やす」第三の選択肢を示しています。

ビュッフェ・食べ放題業態は原価管理が難しい一方、看板になる高原価の一品や期間限定の価格キャンペーンが集客の起爆剤になりやすい構造があります。ザ ブッフェ ダイナーの夜間ランチ料金化は、時間帯別の価格差を一時的に崩してでも客数を確保する判断であり、値下げによる客単価低下と客数増加のバランスをどう取るかという業界共通の論点を映しています。

あさくまの増収減益、テンポスの利益9割減は、売上が伸びても物価高や天候要因でコストが吸収しきれない構造的な逆風を映しています。定食チェーンの好調とチェーン外食企業の収益悪化が同時に起きているのは、業態・立地・仕入れ構造の違いが明暗を分けている証左です。

集客・販促面では、IPコラボの継続実施(第3・4弾)、会員制度と連動したノベルティ、天候データやSNSを活用したクーポン、来店直前の行動データを使った広告設計など、単発の割引に頼らず「来店動機を複数重ねる」設計が大手を中心に定着しつつあります。個人店が同じ規模の投資をするのは難しくとも、手法の発想自体は参考になります。脱炭素対応も、取引先や自治体からの環境対応要請が中小店舗にも及ぶ可能性を示す構造変化の一端です。

コメの概算金急落は、生産コスト上昇と販売価格下落という農家にとっての挟み撃ちであり、仕入れ値の低下を単純に喜べない理由がここにあります。値上げ・原価商品開発集客・販促大手・チェーン動向出店・閉店・M&A人手・賃金も参照してください。

経営の打ち手

価格戦略では、原価が上がった品目は値上げ、下がった品目は値下げというメリハリ型の見直しが有効です。既存の看板メニューや仕入れルートを軸に価格帯の異なる新業態を展開する道、コメの概算金下落局面では仕入れコスト低下を活用してメニュー価格や量を見直す道もあります。

ビュッフェ・食べ放題業態では、高原価食材を看板化する方法に加え、時間帯限定の価格キャンペーンで来店ハードルを下げる方法があります。実施する場合は、割引による客単価低下と来店数増加のバランスを事前に試算しておく道、期間限定を強調して次回来店の予約や会員登録につなげる道が考えられます。

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