いま何が起きているか
2026年10月26日時点、飲食業界では「大手チェーンの出店ラッシュ」「商業施設・駅ナカの大型リニューアル」「閉店跡地の業態転換」「個人店・老舗の静かな閉店」「仕入れ先の経営破綻」が同時進行しています。
- サブウェイ(ワタミ運営)が川崎市役所前・横浜港北・秋葉原と新店を連続オープン。既存店売上は72カ月連続増加と好調を維持
- バーガーキングが茨城・東京に新規2店舗を出店、2028年末600店舗を目指す拡大路線を継続
- サイプレス・ホールディングスが福島のイオンモール伊達に回転寿司「ABURI百貫」など5ブランドを同時出店し、埼玉・新座の旧ガスト跡地には「築地食堂 源ちゃん」2号店を出店予定。閉店跡地の業態転換は継続中
- 東急らが横浜に築170年の古民家を核にした複合商業施設「新綱島MICCA」を開業、エキュート大宮・阪急うめだ・KITTE大阪など商業施設の飲食ゾーン刷新が各地で進行
- 万葉牛・鳥取和牛の供給元である伊藤畜産が破産。コロナ禍の需要減と家族経営ゆえの人手不足が重なった結果
- 神戸の老舗ベーカリー「大和家ベーカリー」が創業100年を前に、体力的負担を理由に閉店
- 一風堂プロデュースの駅ナカラーメン店が、開店からわずか1カ月あまりで早期閉店
体力のある企業が物件と好立地を押さえて出店を加速する一方、個人店や老舗は体力・後継者の限界で静かに退場する構図が続いています。
構造・原理
閉店と新規出店は「物件の椅子取りゲーム」の表裏です。旧ガスト跡地を次々と業態転換するサイプレスグループの動きに見られるように、退場した店の立地と設備は次の出店者にとって最も手に入りやすい経営資源になっています。居抜き出店は初期投資とリードタイムを圧縮できますが、一風堂プロデュース店が駅ナカの好立地でも1カ月で撤退した事例は、立地の良さだけでは定着を保証しないことを示しています。
大手チェーンの出店判断は、モバイルオーダーやセルフオーダーを前提とした省人化設計とセットで進んでいます。サブウェイやバーガーキングが商業施設・オフィス街・ロードサイドを問わず出店を続けられる背景には、人手不足下でも成立する店舗オペレーションの標準化があります。人手・賃金の制約が、出店戦略そのものを規定する時代になっています。
一方、仕入れ先である生産者の経営破綻は、外食のサプライチェーン全体が需要変動の影響を受けやすいことを示しています。伊藤畜産の破産は、ブランド牛を扱う焼肉店にとっても他人事ではなく、仕入れ先の経営状況まで含めたリスク管理の必要性を浮き彫りにしました。
老舗の閉店は、外的な危機(震災・コロナ禍)には耐えても、経営者自身の高齢化・体力という内的な限界には抗えないという個人店特有の構造的な脆さを示しています。こうした店舗は早期の事業承継検討が閉店回避の鍵になります。
経営の打ち手
- 近隣で他チェーンが閉店した場合、その物件・設備がどのような条件で転用可能か早めに情報収集しておく
- 好立地への出店を検討する際も、商圏内の既存需要と客単価・オペレーションとの相性を事前に見極め、短期撤退のリスクを織り込んだ契約条件を検討する


















