フクタンの経営ノート
飲食note アプリ版毎日のニュースで、読めば読むほど、飲食経営が強くなる入手
飲食note経営ノート › フードデリバリー業界再編(3強体制化)

フードデリバリー業界再編(3強体制化)

経営キーワード/フードデリバリー業界再編(3強体制化)
最終更新:2026年9月6日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

KDDI系のフードデリバリー「menu」が2026年9月30日にサービスを終了し、運営会社も解散・清算されます。2026年2月にはフィンランド発「Wolt」が日本撤退を表明し、同年3月にサービスを終了しました。2026年9月時点で、国内フードデリバリー市場はUber Eats・出前館・ロケットナウの「3強」体制への集約が鮮明になっています。

コロナ禍で乱立した各社は需要の一巡とともに淘汰局面に入り、FOODNEKOやfoodpanda、DiDi Food、Chompyなどを含め累計8社が既に撤退しました。約8240億円規模とされる市場の中で、体力のない事業者から大手資本を持つプレイヤーへ利用者・加盟店が集約される流れが続いています。「Uber Eats一強」という表現も使われ始めており、実態は3強体制とUber Eatsの規模的突出という2つの見方が併存しています。

一方で、韓国発の新興サービス「ロケットナウ」は日本上陸から短期間で勢力を拡大しており、大手2社の撤退・終了と入れ替わるように存在感を強めています。3強体制とはいえ寡占が固定したわけではなく、短期間で勢力図が入れ替わる流動的な状況が続いている点には注意が必要です。

一方でイベント需要は追い風です。出前館ではサッカーW杯日本代表戦のタイミングで需要が急増し、試合当日は完了注文数が通常比で1割超、試合前2時間は2割超伸びました。バーガー・ピザ・寿司・たこ焼きなど複数人でシェアできるジャンルが特に伸びています。

またコンビニのローソンがUber Eats・menu・出前館・自社アプリの4チャネルを併用し、2025年度のデリバリー売上を前年比約4割増に伸ばすなど、業態を超えた競合も存在感を強めています。出前館は2026年8月24日から9月30日まで、渋谷区笹塚エリアで自律走行ロボット「Neubie」を使った公道デリバリー実証を開始(都内初)。同8月28日には、Uber Eatsの手数料が37.8%に達しているとの指摘や、配達中の事故責任を事業者側が負わない仕組みへの批判が報じられました。

さらに2026年9月、大手デリバリー運営会社Wiaasが札幌市白石区に「デリステーション札幌白石店」を開業し、タコライスやステーキ丼、韓国料理、和食など12ブランドの商品を1拠点で受け取れるテイクアウト形態を正式にスタートさせました。同社は全国200拠点・Uber Eats出店1000店舗規模を持ち、複数ブランド集約型のゴーストキッチンをテイクアウト市場にも広げています。

構造・原理

3強への収れんの背景には、割引施策先行で収益化しにくい構造があります。ロケットナウが仕掛けた配達手数料無料サービスをきっかけに各社が値下げ競争を強め、赤字覚悟のシェア争いが続いています。海外ではDoorDashが通期黒字化を達成する一方、国内の出前館は原価率が極めて高く最終赤字を計上するなど、単一のデリバリー事業だけで採算を取る難しさが際立っています。

同時に、寡占が進んだ結果としてプラットフォーム側の交渉力が強まりやすい構造も浮き出ています。手数料37.8%との指摘、配達中の事故責任を事業者側が負わない仕組みへの批判はその象徴です。撤退プレーヤーが増えるほど残る大手の交渉力は強まりやすく、加盟店側の選択肢や価格交渉力は相対的に弱くなります。ただしロケットナウのように新興勢力が短期間で台頭する例もあり、寡占が固定化しているとは言い切れません。加盟店にとっては、条件が有利なうちに乗り換えを検討する余地が常に残っている構造とも言えます。

これを受け、大手外食チェーンは「プラットフォーム依存からの脱却」を進めています。マクドナルドやガストなどは自社アプリ・自社サイト起点の注文を強化し、顧客データを自前で持つ「自社経済圏」化を進めています。大手・チェーン動向とも重なる動きです。かっぱ寿司のようにUber Eats価格を店頭価格と統一する動きも広がり、その分の手数料負担は店舗側が吸収する構図になっています。値上げ・原価の論点とも直結します。

すかいらーくが宅配専門の「ゴーストレストラン」に参入したことも、2026年4月に予定される消費税減税(飲食料品1%・店内飲食10%据え置き見通し)を見据えた業態対応です。外食の軽減税率格差外食・食品税率差拡大問題の文脈で理解する必要があります。ゴーストレストランという業態そのものも、既存厨房の稼働率を上げる手段として中小チェーンにも広がりつつあり、Wiaasの複数ブランド集約型のように、デリバリーだけでなくテイクアウト受取拠点としても展開される段階に入っています。

配達を担う人手不足への対応として、出前館の配膳・配送ロボット公道実証も、3強体制下での差別化競争の一環です。ローソンなどコンビニがデリバリー対象を店内調理品にまで広げ、飲食店の商圏を侵食し始めている点も見逃せません。業界内では、料理宅配にとどまらない「料理以外」の商品配達という新市場への展開も次の主戦場として見え始めています。

経営の打ち手

特定プラットフォームへの一極依存はリスクです。累計8社が撤退している以上、複数サービスへの分散加盟、または条件変更時にすぐ切り替えられる体制整備が有効です。契約時には手数料率だけでなく、事故発生時の責任範囲・保険適用の有無、解約・サービス終了時の対応方針を確認しておく必要があります。逆に、残存する3強のうち条件の良いプラットフォームに絞って手数料負担や運用の手間を最適化する道もあります。

新興サービスが短期間で台頭する流動的な市場であることを踏まえると、加盟プラットフォームの条件を定期的に見直し、より有利な条件が出てきた段階で乗り換えを検討する柔軟さも有効な打ち手です。自社アプリの構築が難しい中小店でも、LINE公式アカウントやSNSで顧客リストを持ち、店頭・SNSから直接注文へ誘導する導線を作ることは可能です。手数料や集客ルールを他者に握られない「自前の顧客接点」を持つ発想が重要です。集客・販促の観点からも定期的な見直しが求められます。

この続きは有料会員限定です

飲食noteの有料プラン(月々2,980円/年間一括20,400円・5ヶ月ぶんお得/初めてご契約の方は7日間無料トライアル)で、経営ノートの全文とAIコンサル「フクタン」が使い放題になります。

飲食noteで続きを読む
根拠にした主なニュース
関連する経営ノート

飲食noteは、業界ニュースとAIコンサル「フクタン」の解説を毎日無料で読める、飲食経営者のためのメディアです。無料会員になると、自分の業態を選んで関係するニュースを前に出せます。