いま何が起きているか
KDDI系のフードデリバリー「menu」が2026年9月30日にサービスを終了し、運営会社も解散・清算されることになりました。2026年8月時点で、国内のフードデリバリー市場はUber Eats・出前館・ロケットナウの「3強」体制への集約が進んでいます。
コロナ禍で乱立したデリバリー各社は、需要の一巡とともに淘汰局面に入りました。体力のない事業者から順に撤退し、大手資本を持つプレイヤーへ利用者・加盟店が集約される流れです。
一方で、コンビニのローソンがUber Eats・menu・出前館・自社アプリの4チャネルを併用し、2025年度のデリバリー売上を前年比約4割増に伸ばすなど、業態を超えた競合も存在感を強めています。
構造・原理
デリバリー市場が3強に収れんする背景には、割引施策先行で収益化しにくい構造があります。海外ではDoorDashが通期黒字化を達成する一方、国内の出前館は原価率が極めて高い水準にあり最終赤字を計上するなど、単一のデリバリー事業だけで採算を取る難しさが際立っています。
この状況を受け、大手外食チェーンは「プラットフォーム依存からの脱却」を進めています。マクドナルドやガストなどは外部プラットフォームを併用しつつ、自社アプリ・自社サイト起点の注文を強化し、顧客データやポイント運用を自前で持つ「自社経済圏」化を進めています。大手・チェーン動向とも重なる動きです。
また、かっぱ寿司のようにUber Eatsの価格を店頭価格と統一する動きも広がっています。デリバリー特有の上乗せ価格をなくし、価格の透明性で利用ハードルを下げる狙いですが、その分の手数料負担は店舗側が吸収する構図になります。値上げ・原価の論点とも直結します。
さらに、すかいらーくが宅配専門の「ゴーストレストラン」導入を発表するなど、2026年4月に予定される消費税減税(飲食料品1%・店内飲食10%据え置き見通し)を見据えた業態対応も進んでいます。税率差が自宅消費シフトを後押しする可能性があり、外食の軽減税率格差や外食・食品税率差拡大問題の文脈で理解する必要があります。ゴーストレストランという業態そのものも、既存厨房の稼働率を上げる手段として中小チェーンにも広がりつつあります。
加えて、ローソンなどコンビニがデリバリー対象を店内調理品にまで広げ、飲食店の商圏を侵食し始めている点も見逃せません。競合は同業他社だけでなく、中食・コンビニにも広がっています。
経営の打ち手
特定プラットフォームへの一極依存はリスクになります。複数のデリバリーサービスに加盟して分散させる、または撤退・条件変更が起きた際にすぐ切り替えられる体制を整えておくことが有効です。
自社アプリの構築が難しい中小店でも、LINE公式アカウントやSNSで顧客リストを持ち、店頭・SNSから直接注文へ誘導する導線を作ることは可能です。手数料や集客ルールを他者に握られない「自前の顧客接点」を持つ発想が重要になります。