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フードデリバリー業界再編(3強体制化)

経営キーワード/フードデリバリー業界再編(3強体制化)
最終更新:2026年10月1日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

KDDI系フードデリバリー「menu」は2026年9月30日にサービスを終了し、運営会社も解散・清算されます。2026年2月にはフィンランド発「Wolt」が日本撤退を表明し同年3月に終了しました。2026年9月時点で、国内市場はUber Eats・出前館・ロケットナウの「3強」体制への集約が鮮明です。FOODNEKOやfoodpanda、DiDi Foodなどを含め累計8社が撤退しており、約8240億円規模の市場で体力のない事業者から大手へ利用者・加盟店が集約されています。

一方で韓国発の新興「ロケットナウ」は上陸から短期間で勢力を拡大し、2026年9月には5回注文で特典が付くスタンプリワードを開始しました。福岡市のラーメン店「元祖トマトラーメン三味」は同月、出前館・Uber Eats・ロケットナウを併用した24時間デリバリーを天神・大名エリアで始めており、地方個店でも3社併用によるチャネル分散が現実の選択肢です。札幌市白石区では大手運営会社Wiaasが12ブランドを1拠点に集約する「デリステーション」を、東京・西麻布ではOishii LabがUber Eats専業の単品特化型店舗を開業するなど、店舗を持たない業態の広がり方にも幅が出ています。

コンビニ勢の存在感も強まっています。ローソンはUber Eats・menu・出前館・自社アプリの4チャネルを併用し、2025年度デリバリー売上は前年比約4割増。店内調理品の宅配「ゴーストレストラン」は約1600店に拡大し、2026年8月には神奈川でロケットナウとの連携も始めました。ロケットナウはローソンの店内調理品(炒飯など)もデリバリー対象に加えています。

収益構造の厳しさも浮き彫りです。出前館は原価率99.5%という水準で最終赤字78億円を計上した一方、米DoorDashは通期黒字化を達成し、ウーバーは独デリバリー・ヒーローを約2.4兆円で買収するなど海外勢は収益化に進んでいます。かっぱ寿司も平日90円皿やUber Eats同価格化などの施策を重ねながら7.6億円の赤字に転落しており、値下げ・話題作りだけでは利益に結びつかない構造が国内外で対照的に表れています。

構造・原理

3強への収れんの背景には、割引先行で収益化しにくい構造があります。ロケットナウが仕掛けた配達手数料無料をきっかけに各社が値下げ競争を強め、赤字覚悟のシェア争いが続いています。価格競争が限界に近づく中、スタンプ施策のような「継続利用の仕組み」が次の競争軸になりつつあります。

寡占が進んだ結果、プラットフォーム側の交渉力が強まりやすい構造も浮き出ています。手数料37.8%との指摘、配達中の事故責任を事業者側が負わない仕組みへの批判はその象徴です。ただしロケットナウのように新興勢力が短期間で台頭する例もあり、寡占が固定化しているとは言い切れません。

これを受け大手外食チェーンは「プラットフォーム依存からの脱却」を進めています。マクドナルドやガストは自社アプリ起点の注文を強化し顧客データを自前で持つ「自社経済圏」化を進める一方、マクドナルドは自社宅配「朝マック」の最低注文額を1000円から1500円へ引き上げるなど採算改善にも動いています。大手・チェーン動向の重要テーマです。かっぱ寿司のようにUber Eats価格を店頭価格と統一する動きも広がり、その分の手数料負担は店舗側が吸収する構図になっています。値上げ・原価の論点と直結します。

すかいらーくの宅配専門「ゴーストレストラン」参入は、2026年4月に予定される消費税減税(飲食料品1%・店内飲食10%据え置き見通し)を見据えた業態対応です。外食の軽減税率格差や外食・食品税率差拡大問題の文脈で理解する必要があります。SANKOのように既存厨房を使い回して多ブランド展開するゴーストレストランは中小チェーンにも広がっており、松屋フーズの中食業態でのUber Eats連携のように、既存業態からの派生型も増えています。

配達を担う人手不足への対応として、渋谷区笹塚エリアでの自律走行ロボット実証など配膳・配送ロボットの公道実証も3強体制下での差別化競争の一環です。コンビニがデリバリー対象を店内調理品にまで広げ、飲食店の商圏を侵食し始めている点も見逃せません。

経営の打ち手

特定プラットフォームへの一極依存はリスクです。累計8社が撤退している以上、複数サービスへの分散加盟、条件変更時にすぐ切り替えられる体制整備が有効です。福岡の「元祖トマトラーメン三味」のように出前館・Uber Eats・ロケットナウを同時併用し、深夜帯やイベント需要を取りこぼさない体制は個店でも実行可能です。契約時には手数料率だけでなく、事故責任の範囲・保険適用、解約時の対応方針を確認しておく必要があります。

ロケットナウのスタンプリワードのように、プラットフォームが用意するリピーター施策への参加は、加盟店の追加負担が小さいまま顧客の継続利用を後押しできます。手数料や集客ルールを他者に握られない「自前の顧客接点」を同時に育てておくことも重要です。集客・販促の観点からも定期的な見直しが求められます。

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