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ゴーストレストランとは何か。仕組みと経営への活かし方

経営キーワード/ゴーストレストラン
最終更新:2026年9月1日 飲食note・フクタンの経営ノート

ゴーストレストランとは

ゴーストレストランとは、客席を持たず調理と宅配・テイクアウトの提供に特化した飲食業態のことです。厨房と配達動線だけを用意し、Uber Eatsや出前館などのデリバリープラットフォーム上に「店舗」として出店する形が一般的です。既存の厨房を間借りしたり、複数のブランドを一つの厨房から展開したりできるため、出店コストを抑えながら商圏を広げられる点が特徴です。

似た言葉に「バーチャルレストラン」があります。主にブランド展開の側面を指す呼び方で、実質的にはゴーストレストランとほぼ同じ仕組みを指すケースが多いです。

飲食経営にどう関係するか

2025年8月時点で注目が高まっている背景には、二つの構造変化があります。

ひとつは税制です。2027年4月に予定される消費税減税では、飲食料品の税率が8%から1%へ引き下げられる一方、店内飲食は10%のまま据え置かれる見通しです。この税率差が広がることで、「外で食べる」より「持ち帰って食べる」ほうが割安になり、自宅での食事需要が増えると見込まれています。外食の軽減税率格差の問題として、業界全体が対応を迫られている構図です。

もうひとつは、スーパーの中食や他社のテイクアウト・デリバリー拡大による「外食離れ」そのものです。店を構えて客を待つ従来型の外食が、調理済み品を届ける中食・宅配と直接競合するようになり、外食業態の相対的な魅力が薄れつつあります。

こうした背景を受け、すかいらーくホールディングスは2025年8月、テイクアウト・デリバリー専門のゴーストレストラン事業への参入方針を発表しました。「ガスト」「バーミヤン」など既存ブランドの枠を超え、複数ブランドのメニューを一度に注文できる仕組みで首都圏から展開する方針です。コロナ禍の2021年にも同様の業態を運営した経験を踏まえ、メニュー構成や調理機器を見直し配達時間の短縮を図るとしています。店舗家賃や接客人員を抑えられる一方、デリバリー手数料や認知獲得のコストがかかる点は、この業態に共通する課題です。大手・チェーン動向としても象徴的な動きです。

コンビニ業界でも同様の動きが進んでいます。ローソンは2022年からゴーストレストラン事業を展開し、2025年8月時点で約1,600店舗に拡大しました。導入店では店内調理品の売上が1〜2割増加しており、24時間営業と店舗網の密度を生かして深夜・猛暑期の需要も取り込んでいます。京都のカラオケ大手ジャンカラ運営会社は、既存の厨房やノウハウを転用したバーチャルレストラン事業を322店舗まで拡大しています。

中堅の外食企業でも同様の動きが見られます。SANKO MARKETING FOODSは「アカマル屋」「東京チカラめし」など既存飲食店の厨房を活用し、デリバリー専用ブランドを含む全30ブランドを多業態展開する形で、フードデリバリー事業の店舗数が110店舗を突破したと発表しました。大手だけでなく中堅チェーンにも、既存資産を転用してブランド数を増やす戦略が広がっています。

個店レベルでも動きが確認できます。都内のある豚丼専門店では、本業の豚丼とは全く異なるジャンルのアサイーボウルや麻辣湯を、デリバリー専門の別ブランドとして同じ厨房から展開しています。ネット注文のみで完結し、レジも客席も持たないこうした運営は、中小店が空き時間の厨房を使って追加収益を狙う際の一つの型として参考になります。

さらに、モスフードサービスは2025年9月から、スーパーなど小売店向けの家庭用冷凍食品ブランド「MOS Deli」を立ち上げる方針です。小売向け自社商品開発は同社初の取り組みで、外食が消費税減税の対象外となる見通しを踏まえ、店舗以外での収益源を確保する狙いがあります。ゴーストレストラン単体の展開だけでなく、冷凍食品を含む「店舗外収益」全般への広がりとして捉える必要があります。

収益構造のリスクにも注意

ゴーストレストラン増加の裏側では、収益性の低さも指摘されています。ある食品デリバリー大手企業では、売上原価率が前年の85.4%から99.5%へ急上昇し、2025年9月からの9か月間で売上高282.9億円に対し粗利はわずか1.4億円にとどまったと報じられています。税率差というコスト構造上の追い風が新規参入を後押しする一方、価格競争や手数料負担で市場全体の利益率が薄くなっている実態がうかがえます。参入のしやすさと収益性の低さは表裏一体である点に注意が必要です。

経営の打ち手

中小店や個人店が同じ規模で多店舗展開するのは容易ではありませんが、考え方の転用は可能です。

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