ゴーストレストランとは
ゴーストレストランとは、客席を持たず調理と宅配・テイクアウトの提供に特化した飲食業態のことです。厨房と配達動線だけを用意し、Uber Eatsや出前館などのデリバリープラットフォーム上に「店舗」として出店する形が一般的です。既存の厨房を間借りしたり、複数のブランドを一つの厨房から展開したりできるため、出店コストを抑えながら商圏を広げられる点が特徴です。
似た言葉に「バーチャルレストラン」があります。こちらは主にブランド展開の側面を指す呼び方で、実質的にはゴーストレストランとほぼ同じ仕組みを指すケースが多いです。
飲食経営にどう関係するか
2025年8月時点で、この言葉が急に注目を集めている背景には税制の変化があります。2027年4月に予定される消費税減税では、飲食料品の税率が8%から1%へ引き下げられる一方、店内飲食は10%のまま据え置かれる見通しです。この税率差が広がることで、「外で食べる」より「持ち帰って食べる」ほうが割安になり、自宅での食事需要が増えると見込まれています。外食の軽減税率格差の問題として、業界全体が対応を迫られている構図です。
実際、すかいらーくホールディングスは2025年8月、この税率差を見据えて宅配・テイクアウト専門の「ゴーストレストラン」を新設すると発表しました。「ガスト」「バーミヤン」など既存ブランドの枠を超え、複数ブランドのメニューを一度に注文できる仕組みで首都圏から展開する方針です。コロナ禍の2021年にも同様の業態を運営した経験を踏まえ、メニュー構成や調理機器を見直し配達時間の短縮を図るとしています。大手・チェーン動向としても象徴的な動きです。
コンビニ業界でも同様の動きが進んでいます。ローソンは2022年からゴーストレストラン事業を展開し、2025年8月時点で約1,600店舗に拡大しました。導入店では店内調理品の売上が1〜2割増加しており、24時間営業と店舗網の密度を生かして深夜・猛暑期の需要も取り込んでいます。デリバリー全体の売上は2025年度で前年度比約4割増と好調で、8月からは新配送サービス「ロケットナウ」も神奈川県で先行導入されました。異業種からの参入もあり、京都のカラオケ大手ジャンカラ運営会社は、既存の厨房やノウハウを転用したバーチャルレストラン事業を322店舗まで拡大しています。
経営の打ち手
中小店や個人店が同じ規模で多店舗展開するのは容易ではありませんが、考え方の転用は可能です。
- 既存の厨房設備をそのまま使い、営業時間外や手薄な時間帯にデリバリー専用ブランドを立ち上げて試してみる