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外食・食品税率差拡大問題

経営キーワード/外食・食品税率差拡大問題
最終更新:2026年11月1日 飲食note・フクタンの経営ノート

外食・食品税率差拡大問題とは

政府は2027年4月から2年間、軽減税率対象の食料品にかかる消費税率を8%からさらに1%へ引き下げる方針です。1989年の消費税導入以来、初めての税率引き下げとなります。

この1%への引き下げは、2029年度に本格導入予定の「給付付き税額控除」までの「つなぎ」措置と位置づけられています。恒久制度ではなく時限的な軽減策である点が特徴です。

一方、店内飲食(外食)の消費税率は10%のまま据え置かれる見通しです。この結果、食料品(弁当・惣菜など中食を含む)と外食の税率差は、現行の2%から一気に9%へ拡大する可能性があります。

2026年9月13日時点で、この減税措置を盛り込んだ税制改正大綱は9月15日の閣議決定を目指して最終調整中と報じられました。これまでの軽減税率制度でも店内飲食は10%、持ち帰り・中食は8%対象という線引きがされてきた経緯があり、今回の1%措置もこの構造を踏襲し外食が対象外になる可能性が高いとみられます。大綱案には、外食事業者がテイクアウトなど多角化に取り組む際の支援策を盛り込む方向で調整されており、政府側も税率差による外食の客足減少という副作用を認識していることがうかがえます。ただし支援策の具体的な内容は示されておらず、財源も赤字国債に頼らず歳出・歳入の見直しで対応するとされるのみで詳細は不透明です。

消費税制度上、外食は「食事サービスの提供」として扱われ、軽減税率の対象外とされています。テイクアウトや弁当店で販売される食品、デリバリーで届けられる食品は「食料品」として軽減税率の対象になるため、同じような食事でも税率が大きく異なる構図が生まれます。

飲食経営にどう関係するか

税率差の拡大は、外食と中食・内食との価格差を直接広げます。同じ予算でも、店内飲食よりテイクアウト・弁当・惣菜・デリバリーを選ぶ消費者が増えやすくなり、外食離れが懸念されています。

2026年10月時点で、業界団体シンクロ・フードが「飲食店ドットコム」会員を対象に実施したアンケートでは、店内飲食の客足・売上へのマイナス影響を予想する飲食店が4割超にのぼることが判明しました。回答者の68.9%が1店舗経営、50.6%が東京都所在で、テイクアウト・デリバリーを既に実施している店舗は50.6%でした。税率差拡大が現場レベルで広く懸念されていることが数字でも裏付けられた形です。

さらに同調査では、半数超の店舗がレジ・会計システムや運用面での負担増を見込んでいることも明らかになりました。税率の線引きが変わるだけで、価格表示やPOSの税率区分を見直す手間が発生し、特に1店舗経営の中小規模店ほどシステム対応の負担を強く感じている様子がうかがえます。制度変更そのものの是非だけでなく、現場のオペレーションコストという別の課題も浮き彫りになっています。

さらに深刻なのは、外食が相対的に「割高」に見られやすくなることで、値上げそのものがしにくくなる点です。仕入れコストや人件費が上がり続ける中、価格転嫁が難しくなれば、賃上げ原資の確保にも支障が出かねません。人手・賃金の課題と税制の問題が絡み合う構図になっています。

この構造変化は業態や規模を問わず影響します。大手チェーンでは、ロイヤルホールディングスやすかいらーくHDが早々にテイクアウトメニューや弁当強化の方針を示しました。すかいらーくHDは売上の85%以上を店内飲食に依存しているため、税率差拡大への危機感が特に強いとみられます。東京・神田のカレー専門店代表からは、食料品のみを対象とした減税に疑問を呈し、円高による材料費抑制の方が効果的だとの指摘も出ています。

一方、減税対象となる弁当店・中食側にも課題があります。原材料費や人件費の上昇が続く中、減税分をそのまま値下げに反映できるとは限らず、消費者が期待する「食料品が安くなる」実感と現場の実情にギャップが生じる可能性があります。値上げ・原価の圧力は中食側にも及んでいます。

この税率差は、実店舗を持たずデリバリー専用で営業するゴーストレストランの増加も後押ししています。2025年8月時点で報じられた食品デリバリー大手の事例では、売上原価率が前年85.4%から99.5%へ急上昇し、9か月間で売上高282.9億円に対し粗利がわずか1.4億円という薄利構造が明らかになりました。それでもゴーストレストラン自体は増加を続けており、税率差という制度上の優位性が、収益性の低いプレイヤーの新規参入を招いている構図がうかがえます。フードデリバリー業界全体の価格競争と手数料負担が、この構造をさらに厳しくしています。

外食の軽減税率格差は以前から指摘されてきた論点ですが、今回の食料品側のさらなる減税により、格差が構造的にほぼ5倍近くまで広がる点が新しい局面です。政府が外食支援策を大綱に盛り込む調整をしている点は、この副作用の大きさを裏付けているとも言えます。

経営の打ち手

税率差を前提に、外食店が取りうる方向は大きく三つに分かれます。

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