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韓国料理店経営の現在地と生存戦略

業態別/韓国料理
最終更新:2026年9月12日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

2026年9月時点で、韓国料理・韓国風メニューは大手チェーンから専門店、異業種企業まで幅広い動きが続いています。

株式会社Reviewが店名に「韓国」「コリア」を含む全国3,083件の開業データを分析した調査では、開業数は2023年をピークに減少傾向にある一方、東京・大阪など主要都市への出店拡大は続いています。開業ラッシュは一服したものの需要が縮小したわけではなく、「話題性で人が集まる業態」から「定番として選ばれる業態」への移行期に入っていると捉えられます。

磯丸水産の韓国フェア、赤からの「ナッコプセ」投入、松屋の「豚キムチ定食」復活など、業態を問わず韓国メニューが夏季限定商品として活用されています。渋谷にはすき焼き店運営会社が韓国焼肉の新業態「良味苑」を開業しました。

商業施設への出店も目立ちます。仙台PARCOは2026年秋冬に全16店舗をリニューアルし、12月には「韓美膳」など飲食3店が出店予定です。ナッコプセ鍋の専門店「サウィ食堂」は2026年9月、池袋・京都に新規出店し、コリアンタウン依存からの脱却を示しました。

大阪・箕面の「和韓料理 プルコギ専門店 じゅろく」は2026年9月、和韓融合コンセプトをさらに深掘りする新メニュー7種を投入。松山市の「韓国酒場 キムポチャ」は1人前単位からの注文を可能にし、少人数・一人客への対応を打ち出しました。

新たに、東京で行列ができる朝食・ブランチ専門の韓国料理店「サムジョ」(一石三鳥グループ運営)が2026年9月14日、京都・七条に関西初出店しました。和牛出汁と韓国家庭料理を組み合わせ、ランチ・ディナー中心の従来店とは異なる時間帯・客層を狙う業態です。朝食帯という新たなすき間需要を韓国料理で開拓する動きといえます。

焼肉食べ放題市場でも、韓国料理を組み込んだ低価格業態の拡大が続いています。株式会社DICは2026年9月15日から18日にかけて、大阪・梅田と天王寺に焼肉食べ放題の新ブランド4店舗を連続開業しました。既存の運営ノウハウを活かしつつ、韓国料理やサイドメニューを含む全コース100品以上を2,880円〜で提供する構成です。

季節限定メニューの継続投入も続きます。「チャルモゴッソヨ」東京ドームシティ店は2026年9月24日、四季の特別メニュー企画第3弾として「もっちりじゃがいもチヂミ」(880円、監修キム・ヨンジョン氏)を投入予定です。単発ではなく連続企画として展開し、リピーターの期待感を維持する手法です。

一方、豊中では焼肉・ホルモン店がサムギョプサル専門店へ業態転換。業務スーパーの神戸物産は韓国居酒屋「ハンサン」で外食参入を加速しています。他方で、富山のシェア型フードホール内店舗は開業1カ月足らずで閉店、韓国本国でも「キムガネ」1号店の閉店、「ノルブ」の企業再生手続き申請など、急拡大した外食フランチャイズが失速するリスクも改めて示されました。

さらに、ゴーストレストラン型のデリバリー・テイクアウト専業拠点も広がっています。札幌市白石区の「デリステーション札幌白石店」は12ブランドを1拠点に集約し、実店舗を持たずとも韓国メニューを提供する経路の広がりを示しています。


構造・原理:なぜ広がり、なぜ潰れるのか

コチュジャンや旨辛だれといった「味の記号」が明確で既存メニューに掛け合わせやすく、辛味・酸味は夏場の食欲減退期に需要が上がりやすい特性があります。SNSでの見た目・話題性の高さも集客・販促のコンテンツになりやすい一方、根拠のない告発によって評判を一晩で傷つけるリスクも抱えています。

開業数のピークアウトは新規参入の波が一巡したことを示し、都市部への拡散は話題性頼みからリピーター獲得を前提とした定番化への移行を意味します。松屋の「豚キムチ定食」復活は自社製キムチという既存資産を活かして開発コストを抑えつつ話題を作る例です。

サムジョの朝食特化業態は、ランチ・ディナー中心だった韓国料理業態の競合構造を時間帯という軸で分散させる試みです。既存店と直接競合しない客層・時間帯を狙うことで、繁華街立地でも新規出店余地を作り出せる点が特徴です。

DICの焼肉食べ放題は、韓国料理を単独業態としてではなく既存の食べ放題フォーマットの一構成要素として組み込む手法です。低価格・高品数を武器にした価格帯競争が続く市場で、既存ノウハウを短期間に複数店へ横展開する動きは、繁華街立地での面的シェア確保を狙う戦略といえます。

チャルモゴッソヨのような監修者付き季節限定企画の連続展開は、単発の新商品発表とは異なり、継続的なメニュー戦略としてリピーターの期待感を維持する仕組みです。監修者の名前を借りて話題性を作る手法は、体力のある企業ほど有効に機能します。

専門店の単独出店では、オーナーの原体験・偏愛を看板メニューに込める物語性が差別化の軸になります。逆に一品料理を均一価格で提供する路線は原価管理とオペレーションの標準化が前提となり、原材料費の変動を吸収しにくい弱点も抱えます。

韓国本国の「ノルブ」の経営破綻や「キムガネ」1号店の閉店は、単品業態のブランド力だけでは長期の成長を維持しにくく、低価格・薄利多売業態は原材料費の上昇が利益率に直結しやすい実態を示しています。値上げ・原価の圧力は他業態と同様に強く、人手・賃金コストの上昇も利益体質を左右します。


経営の打ち手

1. 既存メニューへの掛け合わせ:看板メニューの味付け技術に韓国調味料を組み合わせ、期間限定商品として低リスクで投入する。

2. 専門特化での差別化:専門性の高い一品を看板に据え、立地依存から脱却できるかを検証する。サウィ食堂のように、コリアンタウン以外での成功要因を分析し自店の出店戦略に応用する方法もあります。

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