フクタンの経営ノート
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焼肉店経営の二極化と生き残り戦略の現在地

業態別/焼肉
最終更新:2026年10月26日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

2026年9月時点、東京商工リサーチの調査では2026年1〜8月(20日まで)の焼肉店倒産が29件に達し、統計開始以来2番目に高い水準です。29件のうち28件は従業員10人未満・資本金1000万円未満の小規模店に集中しています。2025年度の焼肉店倒産は57件と過去最多でした。

2026年9月の東京23区消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年同月比2.7%上昇、国産牛肉は14.2%上昇しました。あみやき亭は2026年10月5日に27年3月期の純利益予想を「16%減の10億円」へ下方修正し、10月12日発表の中間決算でも増収減益が確定しています。一方で10月22日には東京食肉市場まつりが大行列となり、すき焼き店からは「値上げも覚悟」との声が上がるなど、牛肉・卵高騰は外食の価格戦略に直結する段階に入っています。供給側でも、ブランド牛「万葉牛」「鳥取和牛」を手がけてきた鳥取の伊藤畜産がコロナ禍の需要減と人手不足の重なりで10月9日に破産開始決定を受けており、仕入れ先の経営体力も問われています。

こうした逆風下でも集客・成長競争は激化しています。松屋・はなまるうどん・牛角は定期券や割引で再来店を仕込み、ブロンコビリーやニラックスは平日割引と価格設計で稼働率を上げています。あみやき亭は11月4日に京都初出店となる上桂店を開業し、釜炊きご飯という付加価値メニューを導入します。物語コーポレーションのカルビ丼業態「焼きたてのかるび」は40店舗まで拡大し、先行する韓丼と市場を争う構図です。老舗「天壇」は京都・北山への18年ぶり新店に加え、丸の内店では焼肉弁当5種によるテイクアウト参入も進めるなど、店内飲食以外の収益源確保が目立ちます。

専門特化・新業態も相次いでいます。仙台の「たんたたん」、川崎の「焼肉ホルモン よし川」、岡山の「唯の焼肉屋。」、大阪・堂島のハラル対応「焼肉 よど屋」に加え、餃子の王将FC加盟から約20年の五苑マルシンが焼きとホルモン鍋を組み合わせた新業態「情熱ホルモン」を投入しました。インペリアルグループの「GYU-SUKE」はご当地牛フランチャイズとして全国展開を開始し、グルメ杵屋は和牛卸の萬野屋と提携してすき焼き・しゃぶしゃぶの新業態を立ち上げています。


構造・原理:なぜ分岐するのか

焼肉は肉の原価比率が高く、牛肉相場と円安の影響を直接受けやすい業態です。あみやき亭の増収減益や、すき焼き店の値上げ検討は、コスト高騰が常態化する中で量の確保だけでは利益を守れない構造を象徴しています。伊藤畜産の破産は、外食店だけでなく供給元である畜産業者もコロナ禍の需要減と人手不足の両面から経営を圧迫されていたことを示しており、サプライチェーン全体がリスクにさらされていることが分かります。値上げ・原価も参照してください。

分かれ目は規模の大小だけではありません。松屋・はなまるうどん・牛角のように定期券やポイントで来店頻度を底上げする大手、ブロンコビリーのように割引と長期スタンプを組み合わせて平日稼働率を上げる企業、天壇・唯の焼肉屋・よど屋のように専門性や新しい時間帯・客層で差別化する企業が同じ市場に混在します。ホットペッパーグルメ外食総研の調査では食べ放題利用経験は「サラダバー」50.0%、「焼肉」48.2%で、今後利用したいジャンルは「焼肉」39.1%がトップでした。男性はガッツリ系、女性はデザートビュッフェを好む傾向が明確で、客層の性別構成に応じたメニュー設計の重要性が数字で裏付けられています。

部位特化・専門業態化もひとつの潮流です。タン専門の「たんたたん」、朝〆ホルモン専門の「よし川」、焼きとホルモン鍋を組み合わせる「情熱ホルモン」は、全部位を揃える総合焼肉店に対し、看板メニューを絞ることで差別化やオペレーション効率を図っています。一方でGYU-SUKEのご当地牛フランチャイズや杵屋×萬野屋の提携、物語コーポレーションのカルビ丼業態拡大のように、自社単独開発ではなく外部の仕組みやM&A・専門業態への参入で成長速度を上げる動きも広がっています。

客単価・ドリンク単価の引き上げも収益改善の重要な軸です。焼肉『牛恋』の周年祭では、通常61.2%だったアルコール注文組率が期間中87.0%まで上昇しました。非日常の演出が「特別なときや乾杯のときに飲む程度」という若手層の飲酒行動を動かした可能性を示しており、イベント設計がドリンク収益に直結することが数字で確認できます。また天壇丸の内店の弁当テイクアウトのように、店内飲食に依存しない中食への展開も、客単価とは別の収益チャネルとして機能し始めています。


経営の打ち手

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