フクタンの経営ノート
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スイーツ業態のトレンドと経営戦略まとめ

業態別/スイーツ
最終更新:2026年9月12日 飲食note・フクタンの経営ノート

いま何が起きているか

2026年9月時点、スイーツ関連の話題は複数の流れに集中しています。桃・抹茶・ピスタチオ・栗・芋・梨・巨峰・紅茶といった旬素材を軸にした季節限定商品の一斉投入、人気キャラクターとのIPコラボ、寿司店・うどん店・ハンコ店・豆腐店・オムライス専門店など「本業」とは異なる領域からのスイーツ・カフェ進出、海外ブランドの日本初上陸、原材料高による値上げの明暗、百貨店による専門店誘致、老舗ブランドの活用、そして冷凍卸を使った仕入れ支援の広がりです。

スシローは社内組織「スシローカフェ部」が原宿でポップアップカフェを展開し、回転すしチェーン初のスイーツ専業業態を検証しました。かっぱ寿司は「ごちCAFE」を軸に寿司屋の食材を転用したスイーツを連発し、丸亀製麺の「うどんプリン」、京都のハンコ店によるどら焼き屋開業、大阪の粉もん店による新業態カフェ出店なども、業態転換・多業態化の広がりを示しています。焼肉坂井ホールディングス運営のオムライス専門店「おむらいす亭」山口ゆめタウン山口店は2026年9月14日にリニューアルオープンし、鉄板焼きメニューに加えパフェ・ワッフルの新スイーツ6種類とフロート3種類を投入しました。単品特化業態がデザートまで手を広げ、食後需要と写真映え需要を同時に取り込む典型例です。

福岡発のベーカリー「AMAM DACOTAN」と生ドーナツ専門店「I'm donut?」を展開する株式会社peace putは、2026年9月11日、福岡市の清流公園内にテイクアウト専門のスタンド型店舗「dacō?清流公園」をオープンしました。両ブランドの人気パンと生ドーナツを厳選して集約し、営業時間は11時から24時までと夜間需要も取り込む構成です。既存ブランドの人気商品を編集し直し、小型・テイクアウト特化の新業態としてブランド資産を再活用する手法として位置づけられます。

海外ブランドの日本上陸も続いています。ニューヨーク発「マグノリアベーカリー」が2026年6月16日、東京・表参道にアジア初出店しました。人気ドラマへの登場で世界的に有名になった店で、カップケーキ430円台からケーキ・クッキー・ブラウニー・バナナプディングまで約150種類を展開し、店頭には常時約40種類を日替わりで並べます。国内で既に広がっているカップケーキブームの中での参入で、映画・ドラマ経由のトレンドが時間差で日本市場に流入する典型パターンといえます。韓国発のバターサンド専門店「MilkyShop」も日本初店舗を渋谷・神南エリアに2026年9月12日オープンしており、発信力の高い立地を初出店地に選ぶ動きが続いています。

うかいグループは、洋菓子店「アトリエうかい」の複合型店舗をイオン八王子滝山に2026年9月7日グランドオープンさせ、フロアの約半分を工房が占める体験型の構成にしました。続けて百貨店そごう横浜店にも同ブランドを2026年9月17日に常設出店し、工房型の体験施設と百貨店の常設テナントという二つの出店形態を同時期に展開しています。土産物ブランドの東京ばな奈も羽田空港第1ターミナルに初のカフェスタンドを同日オープンし、「持ち帰り」から「その場で食べる」体験型消費への転換を図っています。

シュークリーム専門店ビアードパパは、もち・ザク・とろりの3食感を組み合わせた「月見シュー」(税込290円)や、カフェ人気メニューをシュークリームに翻案した「キャラメルマキアートシュー」を9月限定で発売しました。ジェラテリア マルゲラは一口サイズの新作ジェラートと秋冬限定フレーバーを同時投入し、購入ハードルを下げるミニサイズ化と季節感訴求を組み合わせています。

秋の定番食材である栗・芋・シャインマスカット・紅茶は、資生堂パーラー、木村屋、ニコライ バーグマン ノム、スターバックス、タリーズ、コメダ珈琲店、ジョナサンなど、業態も規模も異なる多数のブランドが同時期に商品化する典型的なテーマになっています。産地打ち出しの高付加価値化と、テイクアウト向けの低単価商品による回転数確保という二つの狙いが混在しています。

仕入れ面では、中食事業を展開する株式会社Cqreeが運営する冷凍卸サイト「冷TAKU」が、穴あきチーズケーキやソフトクリームなど人気スイーツを対象に3,000円引きキャンペーンを2026年9月11日に開始しました。無人販売店・キッチンカー・イベント出店向けに新商材の初期コストを下げる仕組みとして位置づけられます。和喫茶業態の多店舗展開も進んでおり、コメダの「おかげ庵」は2026年9月時点で5都県に20店舗を展開し、2030年までに50店舗以上への拡大を掲げています。

構造・原理

スイーツが業態を問わず取り入れられる背景には構造的な理由があります。

この流れは商品開発の観点では「本業の技術×話題性のある要素」の掛け合わせとして整理できます。回転寿司チェーンが醤油やシャリをスイーツに転用する例、オムライス専門店が鉄板メニューとパフェを同時投入する例、うかいがレストランの技術をカフェ・洋菓子業態に転用する例、dacō?のように複数ブランドの人気商品を一つの小型テイクアウト業態に編集し直す例は、いずれも本業資産の再活用という共通点を持ちます。

海外ブランドの参入は、映画・ドラマなどのメディア露出で先に火がついたトレンドが時間差で流入する構造として理解できます。マグノリアベーカリーの上陸は、既に国内で広がっているカップケーキブームをさらに加速させる可能性があり、既存の専門店にとっては競合増加と同時に「話題のエリア」に相乗りできる機会の両面を持ちます。

栗・芋・マスカット・紅茶のように毎年秋に多数のブランドから一斉に商品が出る定番食材は、素材そのものでの差別化が年々難しくなる一方、演出・提供シーン・価格帯・サイズで差をつける余地が残る点が特徴です。物量で勝る大手チェーンは価格据え置きや増量を打ち出しやすいのに対し、店舗数の少ない個人店が同じ発想をとると利益を圧迫しかねません。むしろビアードパパの月見シューやマルゲラの一口サイズのように単品・低価格・小容量で完結する企画は、規模を問わず再現しやすい設計といえます。

うかいや東京ばな奈のように、物販中心だったブランドが製造工程を見せる、その場で仕上げるといった「体験型店舗」に踏み出す動きも広がっています。大規模な工房投資がなくても、オープンキッチン化やその場仕上げの一工程を加えるだけで、同じ商品の体験価値と単価を引き上げる根拠になります。

期間限定・コラボ商品が連発される背景には、話題性の「賞味期限」が短くなっているという前提があります。多数のブランドが同じ食材テーマで同時期に新作を投入する状況は、他社より早く旬やイベントを先取りしないと話題の総量に埋没する競争環境の表れです。値上げの受け止め方は商品ごとに分かれており、値上げ=離反ではないという構造が浮かびます。ブランドへの愛着や体験価値が強い商品ほど価格転嫁への耐性が高い傾向があり、これは値上げ・原価全体に通じる論点です。

経営の打ち手

季節限定メニューは、旬素材をそのまま使うだけでなく既存の看板商品に季節要素を少し加える方法でも成立します。ビアードパパのように既存の型に別の食感素材や他業態の人気テイストを掛け合わせるだけでも新鮮さを演出できます。マルゲラのように一口サイズ化して購入ハードルを下げつつ秋冬フレーバーで話題性を作る、という組み合わせも参考になります。

単品特化業態が食事後のデザート需要まで手を広げる場合、おむらいす亭のようにメニュー数を絞りすぎず、既存の調理技術(鉄板・オーブンなど)を転用してデザート・ドリンクを開発すると開発負荷を抑えられます。リニューアル時にはノベルティやクーポン配布などの集客施策を組み合わせる方法も有効です。

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