いま何が起きているか
2026年10月時点で、ホテルの飲食戦略は宿泊収益と一体で語られています。秋の期間限定メニューやフェアに加え、異業種コラボ・既存レストランのリニューアル・地域食材の発信・DX導入など「体験化」と「収益の多角化」が同時進行しています。
- 焼鳥チェーン「鳥貴族」を展開するエターナルホスピタリティジャパンが、アパホテルの「アパ社長カレー」を使った初のコラボメニュー2品を11月1日から全国展開。発売数量は計20万食限定
- 福島県の郡山ビューホテル本館の中国料理店「唐紅花」が、新形式と個室完備で11月6日にリニューアルオープン。宴会・会食需要の取り込みを強化
- 沖縄県名護市のホテルが、県内に生産農家が1軒しかない希少な「琉球蓮根」を使った期間限定メニューを提供し、地元食材の認知拡大を狙う
- 神戸港の「SUPERYACHT BASE KOBE」が2028年、大型クルーザー受入拠点とあわせてレストラン・カフェを含む複合施設を全面開業予定。富裕層・インバウンド観光の受け皿として注目される
- 学校給食センターや社員食堂、ホテルなど集団給食施設向け厨房設備の受注が好調で、厨房機器メーカーの日本調理機が2026年9月期業績を上方修正・増配
- 宿泊・外食業の人手不足対応として、業務用タブレットメーカーが九州・沖縄の宿泊外食産業展に出展するなど、現場DX投資の需要が続く
- 新宿御苑の眺望を売りにした新ホテル「ノーガ新宿御苑」が2027年7月開業予定。館内にベーカリーと薪火レストランを併設
- シーサイドホテル舞子ビラ神戸が、ロビーショップでの自家製パン販売を発展させ、直営ベーカリー「ラトリエ神戸」を10月7日に独立オープン
構造・原理
ホテルダイニングの根底には、記念日や接待といった高単価・低頻度の「非日常利用」に依存しやすい構造課題があります。多くのホテルは今、会員向けポイント施策や日常利用への橋渡し企画を模索しています。
鳥貴族×アパホテルのコラボが示すように、大手チェーンはホテルなど異業種ブランドとの提携メニューで話題性と集客を同時に狙う動きを強めています。期間・数量限定という希少性の演出は業界共通の販促パターンです。郡山ビューホテルの中華店リニューアルのように、ホテル内既存テナントが個室や新形式を取り入れて宴会・会食需要を取り込み直す動きも、宿泊客以外の地域利用を収益の柱にする定番の手法といえます。
琉球蓮根の事例が示す通り、生産基盤が極めて限られた地元食材を観光・飲食の場で発信し、認知拡大と将来的な生産拡大につなげようとする取り組みは各地で見られます。新宿御苑の新ホテルやノーガの事例、舞子ビラ神戸のベーカリー独立化のように、自社レストランやベーカリーなど食の体験価値を併設・育成し、宿泊客だけでなく地域住民・観光客も取り込もうとする動きも定着しています。
神戸港のスーパーヨット拠点計画が示すように、富裕層・インバウンド観光の受け皿となるウォーターフロント再開発は、周辺飲食店の客層構造を変える波及効果を持ちます。一方で、学校給食や社員食堂、ホテルの厨房設備受注が好調という動きは、集団給食分野での設備更新・効率化投資が裏で進んでいることを示唆しており、宿泊・外食業の人手不足を背景にした業務用タブレットなどDX投資の需要とあわせ、現場オペレーション側の構造変化も進行しています。
経営の打ち手
- 地域の人気店や話題の商品とのミニコラボで話題作りをする道もあれば、期間・数量限定という手法だけを取り入れて自社オリジナルメニューの訴求力を高める道もある
- 近隣にホテル開業や大型観光開発の計画がある場合、人流増加を見込んだ連携メニューや送客提携を模索するか、独自の強みを磨いて差別化を図るかを検討する













